皆さんは好きな香りってありますか?
人の嗅覚は、数万種のにおいを識別できるといわれます。人それぞれにおいの好みが違うので、好きなにおいは「香り」となり快適で気分を爽快にしてくれますが、嫌いなにおいは「くさい」もので不快で耐えがたく感じます。
最近はアロマテラピーがその美しい香りと癒しの効果で大変な人気を呼んでいますね。
香水をつけたり、ルームフレグランスを使ったり、インセンスを炊いたり、好きな香りのバスエッセンスを入れたお風呂に入ったり・・・。香りを生活に取り入れている方はたくさんいらっしゃると思います。
さて、今回のコラムは様々な効果がいっぱいの木の香りのお話をしたいと思います。
《木の香りの効能》
森のにおいに包まれていると、気分が爽快になってストレスが解消され心身がリフレッシュします。
木の家具、木の家、木の器など木製品から漂うほのかな香りを感じてほっとした事はありませんか?
これは木材に香りのもとになる成分が含まれているからです。
木材のにおいは、木の製油成分が発するもので、木によってそれぞれ独特の香りと趣をもっています。
また一つの木には50種類以上もの精油成分が含まれているのが普通で、それぞれの成分は特有の働きを持っているため、木の香りの効能は幅広く変化に富んでいます。
木の香りの効能の代表的なものとして次のようなものが上げられます。
@ 消臭作用
日本では古くから茶殻を畳にまいて掃除をする習慣がありました。茶殻がホコリを吸収してくれるからですが、同時に、茶の成分にある消臭効果を利用しているものです。
茶をはじめとするツバキ科の植物は、糞臭であるメチルメルカプタンやニンニク、魚などのにおいを消す精油成分を含んでいます。
A 防ダニ作用
ダニは気管支喘息、アトピー性皮膚炎などの原因となります。特に気管支喘息の50〜90%は室内のダニが原因です。
家に生息するダニに悩んでいる方もたくさんいらっしゃるのではないかと思います。
木のにおいは、このダニの繁殖を抑制する作用があります。ヒノキ、スギ、ベイヒ、ベイスギなどのにおいでダニの繁殖が抑えられます。特にヤクスギ、スギには、ダニを殺す作用がありますが、特に強力なのがクマリンです。このにおいのもとではダニは全滅します。桜餅を食べるとわかるのですが、あのサクラの葉が発する独特の甘い香りがクマリンです。
B 殺虫・防カビ作用
スギの葉と蒸した蚊取り線香、クスノキから得られる樟脳(防虫剤)などが一般的に知られていますが、この他にも多くの精油成分に昆虫忌避効果が報告されています。
また木のにおいの中には、クロカビやアオカビ類、木材腐朽菌などの細菌に抵抗力を持っているものがあります。
特にヒノキ・ヒバのにおいには強力な抗菌性が認められます。
このように木のにおいは、害虫を追い払い、カビを防ぐなどの力を持っています。
抗生物質や合成薬品などのような強力な作用はなく穏やかに作用するので、副作用が少ないことが特徴です。
天然精油の特性が見直され、今研究が盛んに行われています。
《森のにおいと健康》
さて、最初に木の香りで心身がリフレッシュするとお話しました。その香りの正体は一体何なのでしょうか?
森の中に入ると、すがすがしいにおいに包まれます。このにおいが樹木の発散する芳香、フィトンチッドです。
フィトンチッドは、植物が葉を食べようとする虫や侵入しようとする微生物から身を守る為に作り上げてきたといわれます。
森の中には動物の死体や種々の堆積物があります。本来ならこれらの悪臭が気になるはずなのですが、それを全く感じさせないのはフィトンチッドが抗菌性や消臭効果をもち、環境を浄化する能力があるためです。
桜餅や柏餅、笹団子などの他にもお寿司屋さんのケースにネタと一緒に入っているスギやヒノキの葉や、お刺身に添えられるシソの葉もフィトンチッドの殺菌力、消臭効果を利用しているものです。
私たちにとても身近なこのフィトンチッドは自律神経の安定に効果的といわれ、肝機能を改善したり快適な睡眠をもたらすなど健康に好ましい影響を及ぼす事が科学的に明らかになってきています。人体に安全な天然物質ですから副作用の心配がなく穏やかに作用します。
森林浴が健康に良いと注目され今ではすっかり定着しましたが、それは森林浴によってこのフィトンチッドをたくさん吸いこむからなのです。
木の香りにはこのように素晴らしいところがたくさんあります。他にも、木にはたくさんの良いところがあると思いますが、今回はテーマを「香り」絞ってみました。いかがでしたでしょうか?
皆様も時にはご家族で森林浴に出かけたり、生活の中に木の香りを取り入れられてみてはいかがでしょうか?
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